DAO
DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略であり、ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営される組織(=分散型自律組織)のことをいいます。
現在国内の経済活動の中心は、株式会社等のトップダウン方式の組織団体が主要です。しかし、現在、トップダウン方式の組織団体の意思は、あくまで上層部の判断であり、組織団体構成員全員の意思ではないことに疑問が呈されており、組織団体の内部構造を変革させる動きが活発化してきております。
かかる動きが生まれた背景には、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴い、リモートワークが実現可能であることが実証され、オンラインでの経済活動の可能性が見出されたことにあります。また、組織団体内部の情報共有も、オンライン化を実現することができたことも重要であるといえます。このような事情により、現在、組織団体の構造自体を見直し、組織団体構成員による組織団体管理・運営化(DAO化)の動きが提唱されています。
しかし、DAOという概念は、現行法に規定がなく、これまでの組織団体構造とは異なるものになり、複雑な法解釈が必須となります。
弊所は、DAOによるビジネスを展開する企業様に対して、DAOスキームの検討にとどまることなく、ビジネスアドバイス、リーガルアドバイスを提供し、これまで数多くの企業様のDAOビジネスをサポートしてきております。
DAOは、スマートコントラクトと呼ばれるプログラムコードに基づいてルールが実行されます。これにより、従来のような管理者や役員が存在せず、参加者全員による意思決定が自動化・透明化されるのが特徴です。ガバナンストークンを通じて投票が行われるため、DAOでは参加者全員が平等に意思決定に関与できる点が大きなメリットとされています。
DAOの最大の魅力は、意思決定の民主性と透明性です。すでに海外では、投資ファンド、クリエイター支援、NFTプロジェクト、DeFi(分散型金融)など、多様な分野でDAOが活用されており、従来の企業組織とは異なるフラットな運営体制が高く評価されています。国内でもDAOによる地域通貨の運営や、アーティストとファンの新たな経済圏構築といったユースケースが増えつつあります。
一方で、DAOには法的な不確実性が伴います。日本の法人格制度とは異なる概念であるため、税務処理や責任の所在、契約締結能力など、法的な整備が遅れているのが現状です。現在は任意団体や合同会社をベースにDAO運営を試みるケースもありますが、適切な法的スキームを設計するためには、専門家のサポートが不可欠です。
DAOの導入は単なる技術的な選択ではなく、組織文化の再構築や新たなガバナンスの在り方を問うものでもあります。弊所では、DAOに関する法的リスクの分析、スマートコントラクトの監修、国内外の法制度を見据えた適法性判断など、包括的なサポートをご提供しております。今後のWeb3時代に向けてDAOの導入を検討される企業・団体の皆様は、ぜひ一度ご相談ください。