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2026.10.15

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【SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下剣志郎 Legal Update】外国企業が日本企業を訴える場合の日本の民事訴訟実務――国際裁判管轄、準拠法、証拠・保全、デジタル訴訟、判決執行と国際仲裁【2026年版】について公開いたしました。

SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下剣志郎 Legal Update

2026年9月25日(2026年10月5日全面改訂)

SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下 剣志郎

SAKURA法律事務所は、代表弁護士 道下剣志郎によるLegal Update第17回「外国企業が日本企業を訴える場合の日本の民事訴訟実務――国際裁判管轄、準拠法、証拠・保全、デジタル訴訟、判決執行と国際仲裁【2026年版】」を全面改訂しました。

外国企業が日本企業との契約違反、代金不払、M&A後の補償請求、販売代理店・業務委託・投資・JV契約、知的財産、ITその他の商事紛争に直面した場合、日本の裁判所での訴訟は有力な選択肢となり得ます。しかし、国際訴訟の成否は請求原因の強さだけでは決まりません。どこで争うのか、どの法を適用するのか、何を証拠として確保できるのか、相手方資産を判決前に保全すべきか、訴訟コストと社内意思決定をどう管理するか、そして勝訴後に現実に回収できるかを、提訴前から一つの戦略として設計する必要があります。

2026年5月21日には改正民事訴訟法・改正民事訴訟規則が全面施行され、通常の民事訴訟ではmintsを利用した電子申立て・電子提出等が本格運用に入り、弁護士等の訴訟代理人には電子手続が義務付けられました。他方、民事保全や民事執行等はこの時点で全面電子化の対象ではなく、手続ごとに運用を確認する必要があります。裁判所は2026年10月2日にもmintsの準備資料を更新しており、国際紛争では海外本社から日本の訴訟代理人へ証拠・翻訳・承認を迅速に集約する運用設計が従来以上に重要です。

本稿は、2026年10月5日時点の民事訴訟法、法の適用に関する通則法、民事保全法、民事執行法、裁判所の最新公表資料、ハーグ送達条約その他の一次資料を踏まえ、外国企業、General Counsel、経営陣及び海外法律事務所が日本で商事訴訟を行う際に理解しておくべき実務を、提訴前から執行までの一本の紛争戦略として整理します。

本稿の要旨

日本企業を被告とするからといって、直ちに「日本法で日本の裁判所に訴える」と決まるわけではありません。国際裁判管轄、裁判管轄合意・仲裁合意、準拠法はそれぞれ別の分析です。民事訴訟法上、日本国内に主たる事務所又は営業所を有する法人に対する訴えには日本の裁判所が管轄権を有するのが基本ですが、契約上の履行地、財産所在地、合意管轄、専属管轄、特別の事情等も検討しなければなりません。

日本の民事訴訟は、広範な米国型Discoveryを前提としない、裁判官主導・書面中心の手続です。この構造では、提訴後に相手方から大量の資料を取得できるという期待よりも、提訴前のLegal Hold、VDR・メール・チャット・会計・技術ログ等の確保、文書提出命令で特定すべき文書の設計、訴え提起前照会、証拠保全、証人・専門家の選定を早期に行うことが重要です。

2026年5月21日のデジタル化は、通常の民事訴訟の運用を大きく変えました。訴状・準備書面・証拠等はmintsを通じて電子的に提出・管理され、弁護士等の訴訟代理人には電子手続が義務付けられています。他方、仮差押え・仮処分や民事執行は全面電子化の範囲が異なるため、急ぎの保全案件では「通常訴訟と同じ感覚」で準備しないことが重要です。

金銭回収が目的であれば、勝訴判決より先に相手方資産を考えるべきです。銀行預金、売掛金、不動産その他の資産を特定し、必要に応じて仮差押えを検討し、判決後の強制執行へつなげます。既に海外判決がある場合には、日本で本案をやり直すのではなく、民事訴訟法118条及び民事執行法24条に基づく承認・執行が適切かを先に検討すべきです。

SAKURA法律事務所及び代表弁護士 道下剣志郎は、国際訴訟を「訴状を書く仕事」ではなく、Forum、準拠法、証拠、保全、和解、上訴、執行及び海外本社の意思決定を統合するクロスボーダー紛争戦略として設計することが重要であると考えています。

1 国際訴訟は本案の勝敗より前に、Forum・準拠法・救済手段を設計する

外国企業が日本企業に対する請求を有する場合でも、最初に検討すべきは請求原因の詳細ではなく、紛争をどのForumで処理するかです。日本の民事訴訟法は、法人の主たる事務所又は営業所が日本にある場合の一般的な管轄に加え、契約上の債務の履行地、日本にある財産、国内事業との関連等に応じて国際裁判管轄を定めています。もっとも、契約に東京地方裁判所等の専属的合意管轄条項がある場合、外国裁判所を指定する条項がある場合、又は仲裁合意がある場合には、法定管轄だけで結論を出すことはできません。

国際裁判管轄の合意は、民事訴訟法3条の7の要件に従い、一定の法律関係に基づく訴えについて書面で行う必要があります。実務では、Master Agreement、個別注文書、保証契約、Side Letterその他複数の契約が併存し、紛争解決条項が一致していないことがあります。その場合、どの請求がどの契約に基づき、契約外の不法行為・不当利得・補償請求まで条項が及ぶかを、提訴前に整理しなければなりません。

日本の裁判所に法定管轄がある場合でも、民事訴訟法3条の9の「特別の事情」により訴えが却下される余地があります。証拠・証人の所在、関連訴訟の存在、当事者の負担その他の事情が複雑なクロスボーダー案件では、「日本に管轄がある」ことと「日本で争うことが最適である」ことは同じではありません。

さらに、JurisdictionとGoverning Lawは分けて考える必要があります。法の適用に関する通則法7条・8条を踏まえれば、日本の裁判所が英国法、ニューヨーク州法その他の外国法を適用することもあり得ます。外国法が準拠法となる場合は、その内容を日本の裁判所へどのように示すか、外国法専門家の意見書を用いるか、翻訳をどう管理するかまで訴訟コストと審理計画に影響します。したがって、Forum、準拠法、必要な救済、資産所在地を同時に比較してから手続を選ぶことが、国際訴訟の出発点です。

2 外国企業が日本の裁判所へアクセスする実務――日本語、mints、送達、費用担保を一体で準備する

日本の裁判所では裁判所法74条により日本語が用いられます。英語契約、メール、チャット、会計資料、取締役会資料、技術資料等を証拠として提出する場合、裁判所が判断に必要な範囲を日本語化する必要があります。翻訳は単なる言語作業ではなく、契約用語、会計概念、技術用語及び事実経過を、日本の裁判官が短時間で理解できる証拠パッケージへ変換する作業です。全資料を翻訳すればよいわけではなく、争点形成に必要な資料を優先し、原文と訳文の対応を明確にすることが実務上重要です。

日本国内の裁判所で訴訟代理を行うには、日本の弁護士を中心に訴訟体制を組む必要があります。外国法事務弁護士その他の外国弁護士は、海外本社とのコミュニケーション、外国法分析、国際仲裁等で重要な役割を担い得ますが、国内裁判所における代理権とは区別しなければなりません。外国企業側では、日本の訴訟代理人、海外本社、外国法律事務所、会計・技術専門家の役割と意思決定権限を早期に定めるべきです。

2026年5月21日以降に提起された通常の民事訴訟では、mintsによる電子申立て・提出・記録管理が本格化し、弁護士等の訴訟代理人には電子手続が義務付けられています。訴訟手数料等の納付方法も改正され、オンライン申立てを前提とする事務フローが重要になりました。他方、民事保全・民事執行等については、2026年5月21日の通常訴訟の全面電子化とは適用範囲が異なり、東京地裁の保全事件案内も現時点で電子申立て不可としています。仮差押えを急ぐ案件では、通常訴訟のmints運用と保全実務を混同しないことが必要です。

外国企業が原告となる場合、法人の存続、代表権及び訴訟委任権限を示す資料も必要になります。Certificate of Incorporation、Incumbency Certificate、Secretary Certificate、Board Resolution、Power of Attorney等の取得に時間を要する法域もあるため、提訴直前ではなく初期段階で準備します。被告が日本企業であれば訴状の送達は通常国内で完結しますが、外国共同被告等が関係する場合には民事訴訟法108条、ハーグ送達条約その他の国際送達ルートを確認し、数か月単位の時間差も工程に織り込む必要があります。

また、日本国内に住所、事務所及び営業所を有しない外国原告については、民事訴訟法75条により、被告の申立てを受けて訴訟費用の担保提供を命じられることがあります。条約上の免除が問題となる場合もあるため、設立国だけでなく、原告の拠点及び適用条約を確認する必要があります。これは単なる手続論ではなく、提訴時の資金計画とスケジュールに影響する実務論点です。

3 日本にBroad Discoveryがない以上、証拠戦略は提訴前から作る

日本の民事訴訟には、米国型の広範なPretrial Discoveryはありません。各当事者が自己の主張を裏付ける証拠を用意することが基本であり、文書提出命令も、対象文書と証明すべき事実を相当程度特定して利用する制度です。そのため、相手方が持っているはずの資料を訴訟後に広く取得できると想定して提訴することは危険です。

クロスボーダー紛争では、訴訟が合理的に予見された段階で、Legal Hold又はこれに相当する証拠保全を実施すべきです。契約、注文・請求・支払データ、メール、Slack・Teams・WhatsApp等のメッセージ、VDR、CRM、会計システム、アクセスログ、取締役会資料、交渉メモ、技術ログなどについて、自動削除や担当者退職により消失しないよう管理します。外国本社のデータ保護、Bank Secrecy、輸出管理、Privilege等との調整が必要な場合には、日本側の証拠提出戦略と本国法上の制約を同時に整理します。

相手方文書が不可欠な場合、民事訴訟法219条・220条以下の文書提出命令を検討しますが、これは探索的なDiscoveryではありません。文書の存在、所持者、趣旨及び提出義務の根拠を具体化し、法定の除外事由も見込む必要があります。また、訴え提起前には132条の2以下の照会・証拠収集制度が利用できる場合があり、証拠が将来利用困難になる具体的危険がある場合には234条以下の証拠保全も検討対象となります。

証人・当事者本人・専門家の選定も、訴訟終盤ではなく、主張立証構造を作る段階で行うべきです。2026年のデジタル化後は、一定の要件の下でウェブ会議による証人尋問等も可能となりましたが、海外証人については、時差、通訳、宣誓・本人確認、外国法上の制約、口頭証言と書面証拠の整合を事前に設計する必要があります。会計・バリュエーション・IT等の専門家についても、専門家が答える問題と裁判所が判断すべき法的要件を接続させなければ、技術的には精緻でも訴訟上弱い意見書になります。

4 金銭回収・差止めでは、本案訴訟より先に保全と資産情報を考える

本案判決まで時間を要する案件で最も避けたいのは、勝訴時に相手方資産が残っていないことです。金銭請求では、民事保全法20条に基づく仮差押えを用い、将来の強制執行が不可能又は著しく困難になるおそれがある場合に、銀行預金、売掛金、不動産その他の資産を保全できる可能性があります。申立てでは被保全権利と保全の必要性を疎明し、通常、裁判所が定める担保を提供します。

仮差押えは単なる手続的付属物ではありません。相手方の資金繰り、取引関係及び和解交渉へ大きな影響を与え得るため、被保全債権の確度、対象資産、担保コスト、相手方への事業影響及び不当保全となった場合のリスクを慎重に検討します。海外本社が承認に数週間を要する体制では緊急保全に対応できないため、申立て権限・担保金・意思決定ルートを事前に決めておくことが有用です。

金銭以外の権利を守る必要がある場合には、民事保全法23条の仮処分が問題となります。重要資産の処分、競業、知的財産、機密情報、株式その他、本案判決を待つことで目的を失う紛争では、仮の地位を定める仮処分等が実質的な主戦場になることがあります。何を最終的に実現したいかを起点に、本案請求と保全申立ての組合せを設計することが重要です。

そのため、Asset Intelligenceは提訴後の回収部門へ引き継ぐ仕事ではありません。相手方の主要銀行、取引先、不動産、債権、関連会社、担保設定、公開登記・開示情報等を適法に確認し、どの資産を保全・執行対象とし得るかを初期から検討します。訴訟上強い請求でも、回収見込みが乏しい場合には、和解、担保取得、分割支払、親会社保証等を含む別の商業的解決が合理的となることがあります。

5 本案訴訟は、主張・証拠・和解余地を裁判所に理解可能な順序で積み上げる

日本の企業訴訟は、派手な口頭弁論より、準備書面と書証を通じて争点を絞り込むプロセスが中心です。外国企業側で大量の英語資料がある場合、そのすべてを提出するのではなく、請求要件ごとにどの事実をどの証拠で立証するかを整理し、主要な契約・メール・会計資料・専門家資料を裁判所が追える時系列へ落とし込む必要があります。海外訴訟のPleadingsを直訳しても、日本の争点整理に適合するとは限りません。

訴訟中の和解も重要な選択肢です。日本の裁判所は、争点と証拠関係が明確になった段階で和解を勧めることがあり、裁判上の和解は確定判決と同様に執行可能な債務名義となります。国際商事紛争では、金銭の支払だけでなく、秘密保持、契約継続、ライセンス、相互免責、将来の取引条件等を含め、判決では実現しにくい条件を設計できる点に価値があります。

もっとも、和解を急ぐことと、和解可能性を管理することは異なります。裁判所から示される心証、証拠の強弱、保全の有無、資産状況、訴訟コスト、経営陣の時間、レピュテーションを同じ情報基盤で比較し、本社側のSettlement Authorityを明確にする必要があります。外国企業では、現地担当者に権限がなく、本社承認が間に合わないことが和解機会を失う原因となり得ます。

第一審判決に不服がある場合、民事訴訟法285条により、判決書の送達から2週間の不変期間内に控訴しなければなりません。海外本社の投資委員会や取締役会承認が必要な場合、この期間は極めて短いため、判決前から控訴方針、予算、社内決裁の仮説を用意しておくべきです。最高裁への上告・上告受理申立てはさらに限定された審査であり、第一審・控訴審で主張立証を完成させることが実務上重要です。

6 勝訴判決の価値は、執行可能性まで含めて初めて決まる

金銭支払を命じる判決を得ても、相手方が任意に履行しなければ、民事執行法に基づく強制執行が必要です。銀行預金・売掛金等の債権、不動産その他の財産について、債務名義、執行文その他の要件を満たし、対象財産を特定して執行します。仮執行宣言が付された判決では、確定前の執行が問題となることもありますが、相手方の執行停止申立て等との関係を確認する必要があります。

資産の所在が不明な場合、民事執行法上の財産開示手続及び一定の第三者からの情報取得手続を利用できる場合があります。ただし、これらも万能ではなく、どの資産カテゴリーに対してどの手続が利用可能か、既に把握している情報からどこまで対象を特定できるかが実効性を左右します。訴訟中から資産情報を更新し、判決直後に執行へ移れる体制を整えることが重要です。

また、外国企業が既に海外の裁判所で最終判決を取得している場合、日本で本案を最初からやり直すべきとは限りません。民事訴訟法118条は外国裁判所の確定判決の承認要件を定め、民事執行法24条は日本で強制執行するための執行判決手続を定めています。間接管轄、適切な送達又は応訴、公序、相互保証等を満たすかを分析し、既存判決を利用する方が迅速・経済的かを検討します。

請求額の法的価値と経済的価値も分ける必要があります。訴訟費用と実際の弁護士費用は同一ではなく、勝訴しても弁護士費用全額を当然に相手方へ転嫁できるわけではありません。翻訳、専門家、担保、保全、執行等のコストを含めたExpected Recoveryを計算し、途中で和解に切り替える基準を事前に決めることが、経営判断としての訴訟管理につながります。

7 日本訴訟と国際仲裁の使い分けは、紛争発生後ではなく契約段階から設計する

日本の裁判と国際仲裁のどちらが優れているかについて一般解はありません。被告会社、主要証拠及び執行対象資産が日本に集中し、仮差押え・仮処分を迅速に使う必要がある場合、日本の裁判が合理的なことがあります。他方、複数国の当事者、外国語での審理、中立地、専門性のある仲裁人、非公開性、ニューヨーク条約を通じた国際執行を重視する案件では、仲裁が適する場合があります。

外国弁護士の役割も異なります。日本の国内裁判所では日本の弁護士を中心に訴訟を遂行する必要がありますが、国際仲裁では外国弁護士が代理できる範囲が広がります。海外GCや外国法律事務所にとって、言語、Privilege、証拠収集、専門家の選任、社内承認といったグローバルな訴訟運営を仲裁の方が組みやすいケースもあります。もっとも、仲裁は仲裁人報酬・機関費用等が加わり、緊急保全や第三者に対する強制的証拠収集では裁判所との接続が必要となる場面があります。

したがって、Governing Law、Jurisdiction、Arbitration、Service、Interim Relief、Language及びEnforcementを契約のBoilerplateとして個別に処理すべきではありません。将来どの国で紛争が起き、どの資産へ執行するかを想定し、紛争解決条項を一体設計することが、最も費用対効果の高い紛争予防の一つです。

実際に紛争が発生した後は、海外本社、日本の訴訟代理人、外国法律事務所、会計・技術専門家、保険会社その他の関係者の間で、単一のChronology、Document Control Protocol、Privilege/Confidentiality方針及びAuthority Matrixを作ることが重要です。SAKURA法律事務所及び代表弁護士 道下剣志郎は、日本法の手続を海外本社へ説明するだけでなく、海外の証拠と商業背景を日本の裁判所が判断可能な形へ変換し、保全・本案・和解・執行を一体として進めることがクロスボーダー訴訟の中核であると考えています。

FAQ

Q1 外国企業でも日本企業を日本の裁判所で直接訴えることはできますか。

可能です。外国企業であること自体は提訴の障害ではありません。ただし、日本の裁判所に国際裁判管轄があるか、合意管轄・仲裁条項があるか、どの裁判所が具体的に管轄するかを確認する必要があります。

Q2 日本企業が被告であれば、日本法が必ず準拠法になりますか。

いいえ。国際裁判管轄と準拠法は別問題です。契約の準拠法条項や法の適用に関する通則法により、外国法が適用されることがあります。

Q3 日本の民事訴訟は英語で進められますか。

裁判所では日本語を用います。外国語の契約書やメール等を証拠として提出する場合、裁判所の判断に必要な部分について適切な日本語訳を準備する必要があります。

Q4 日本には米国のDiscoveryのような制度がありますか。

米国型の広範なDiscoveryはありません。文書提出命令、訴え提起前の照会・証拠収集、証拠保全、証人尋問等はありますが、提訴前に自社が保有する証拠を確保しておくことがより重要です。

Q5 外国原告は訴訟費用の担保を求められますか。

日本国内に住所、事務所及び営業所を有しない原告については、被告の申立てにより民事訴訟法75条の担保提供命令が問題となります。条約上の免除がある場合もあるため、原告の拠点と適用条約を確認します。

Q6 日本企業が資産を移すおそれがある場合、判決前に止められますか。

要件を満たす場合、金銭債権について仮差押え、非金銭権利について仮処分を検討できます。被保全権利、保全の必要性、担保及び対象資産を早期に検討することが重要です。

Q7 2026年5月のデジタル化で、仮差押えや強制執行もすべてオンラインになりましたか。

いいえ。通常の民事訴訟は全面的なデジタル化が施行されましたが、民事保全・民事執行等は同じ範囲で全面電子化されていません。手続ごとに最新の裁判所運用を確認する必要があります。

Q8 勝訴すれば相手方に弁護士費用全額を請求できますか。

通常はできません。訴訟費用と弁護士費用は別概念であり、実際の弁護士費用全額が当然に敗訴者負担となるわけではありません。契約条項、請求類型その他の法的根拠を個別に検討します。

Q9 海外で既に勝訴判決を取得している場合、日本で再度本案訴訟が必要ですか。

必ずしも必要ではありません。外国判決が民事訴訟法118条の要件を満たし、民事執行法24条の執行判決を得られる場合には、その判決を日本で執行できる可能性があります。

Q10 日本の裁判と国際仲裁のどちらを選ぶべきですか。

一律には決まりません。証拠・資産所在地、秘密性、言語、上訴の要否、保全、費用、外国弁護士の関与、執行国等を比較し、契約段階又は紛争初期に設計する必要があります。

代表弁護士 道下剣志郎「Legal Update」について

SAKURA法律事務所は、代表弁護士 道下剣志郎のプロフィールページにおいて、企業法務、M&A、クロスボーダー取引、国際紛争、金融規制、AI・IT、データ保護、知的財産、危機管理その他の企業経営に重要な法的論点を扱うLegal Updateを継続的に公表しています。

第17回は、第13回から第16回までのM&Aシリーズで扱った取引組成、法務DD、SPA及び表明保証違反クレームから、紛争解決フェーズへ対象を広げ、外国企業が日本企業を日本で訴える際の実務を扱うものです。第18回の外国判決の承認・執行、第19回の国際仲裁とも連続するクロスボーダー紛争シリーズとして位置付けています。

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SAKURA法律事務所では、外国企業と日本企業との契約紛争、M&A関連紛争、表明保証・補償請求、売買・業務委託・販売代理店・投資・JV契約、知的財産・ITその他の国際商事紛争について、国際裁判管轄・準拠法分析、Demand Letter、証拠保全、仮差押え・仮処分、本案訴訟、和解、控訴、強制執行及び外国判決の承認・執行を含む対応を行います。

クロスボーダー案件では、海外本社、General Counsel、外国法律事務所、会計・バリュエーション・技術専門家その他の関係者と英語で連携し、日本の訴訟手続をグローバルな紛争戦略へ統合する支援も行っています。

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外国企業による日本企業への訴訟、日本における民事訴訟、国際裁判管轄、仮差押え・仮処分、強制執行、外国判決の承認・執行、国際仲裁その他のクロスボーダー紛争に関するご相談は、SAKURA法律事務所までお問い合わせください。

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〒106-0032 東京都港区六本木一丁目4番5号 アークヒルズサウスタワー4F

代表弁護士 道下 剣志郎

Web: https://sakura-lawyers.jp/

主な参考資料

1. 民事訴訟法(e-Gov法令検索。国際裁判管轄、訴訟費用の担保、訴え提起前の照会、文書提出命令、証拠保全、控訴等) — https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109

2. 法の適用に関する通則法(e-Gov法令検索。契約・不法行為の準拠法) — https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000078

3. 民事保全法(e-Gov法令検索。仮差押え・仮処分) — https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091

4. 民事執行法(e-Gov法令検索。強制執行・外国判決の執行判決等) — https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004

5. 裁判所法(e-Gov法令検索。第74条・裁判所の用語) — https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059

6. 外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律(e-Gov法令検索) — https://laws.e-gov.go.jp/law/361AC0000000066

7. 民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律(e-Gov法令検索) — https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000115

8. 仲裁法(e-Gov法令検索) — https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138

9. 裁判所「民事裁判手続のデジタル化」 — https://www.courts.go.jp/saiban/minjidejitaruka/index.html

10. 裁判所「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」 — https://www.courts.go.jp/saiban/minjidejitaruka/minso_gaiyou/index.html

11. 裁判所「改正民訴法等に関する参考資料」―mints準備の手引等(2026年10月2日更新を含む) — https://www.courts.go.jp/saiban/minjidejitaruka/minso_shiryou/index.html

12. 裁判所「民事訴訟」 — https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_20/index.html

13. 裁判所「手数料」 — https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/tesuuryou/index.html

14. 東京地方裁判所「保全事件の申立て(電子申立て不可)」 — https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section09/hozen_ziken_mousitate/index.html

15. 最高裁判所『Questions and Answers on Civil Procedure』(英語) — https://www.courts.go.jp/english/judicial_sys/qa_on_Civil_Procedure/index.html

16. 最高裁判所『Outline of Civil Procedure in Japan 2025』(英語PDF) — https://www.courts.go.jp/english/vc-files/courts-en/Material/Outline_of_Civil_Procedure_in_JAPAN_2025.pdf

17. 法務省「外国法事務弁護士承認・指定申請の手引及び書式」 — https://www.moj.go.jp/housei/gaiben/housei07_00028.html

18. HCCH『Convention of 15 November 1965 on the Service Abroad of Judicial and Extrajudicial Documents in Civil or Commercial Matters』 — https://www.hcch.net/en/instruments/conventions/full-text/?cid=17

19. SAKURA法律事務所 公式サイト — https://sakura-lawyers.jp/

20. SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下剣志郎 プロフィール — https://sakura-lawyers.jp/lawyer/michishita-kenshiro/

免責事項

本稿は、2026年10月5日時点で公表されている日本法令、裁判所・法務省・国際機関その他の公的資料及び一般的な実務を基礎として、外国企業による日本での民事訴訟・クロスボーダー紛争に関する一般的な情報を提供するものです。特定の紛争について法的助言又は法律上の結論を示すものではありません。国際裁判管轄、合意管轄・仲裁合意、準拠法、外国会社の資格・代表権、送達、訴訟費用担保、証拠提出、保全処分、消滅時効、損害、控訴、強制執行、外国判決の承認・執行その他の法的評価は、契約内容、当事者・証拠・資産の所在地、請求原因、適用条約、手続の開始時期その他の具体的事情により異なります。また、mints、民事保全・民事執行等の電子化は手続ごとに適用範囲・移行時期が異なるため、実際の案件では提訴・申立て時点の法令、裁判所規則、裁判所運用及び条約状況を確認する必要があります。

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