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2026.10.29

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【SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下剣志郎 Legal Update】改正製品安全4法と越境ECの法務――海外直販、国内管理人、子供PSCマーク、製品リコールと製造物責任【2026年版】について公開いたしました。

SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下剣志郎 Legal Update

法令・資料の分析基準日:2026年10月9日 | 最終校訂日:2026年10月23日

SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下 剣志郎

国境を越えた製品の流通において、契約上の販売主体と、安全性について法的責任を負う主体が一致するとは限らない。海外のメーカーが日本向けの電子商取引サイトで販売し、第三者が注文処理と配送を受託し、日本国内の倉庫やプラットフォームを経由して消費者に商品が届く取引は珍しくない。しかし、製品に欠陥が見つかったとき、誰が基準適合性を検証し、誰が行政に説明し、誰が販売停止や製品回収を主導するかが曖昧なままでは、製品の安全性と事業継続の双方を守ることができない。

こうした責任の空白に対応するため、2024年6月26日に公布された消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律(令和6年法律第67号)の主要規定が、2025年12月25日に施行された。改正の中核は、海外事業者が国内の輸入事業者を介さず、取引デジタルプラットフォーム等を通じて日本の消費者に対象製品を直接販売する場合にも、製品安全4法上の規制主体となることを明確にし、国内管理人を介した行政上の連絡と保全の仕組みを整えた点にある。同時に、乳幼児用玩具などについて子供用特定製品の仕組みが導入され、2026年7月8日には乳幼児用ベッドガードとベビーカーが追加された。

もっとも、改正製品安全4法は、日本で販売されるあらゆる商品を一律に認証する法律でも、国内管理人が全ての事故損害を肩代わりする制度でもない。対象品目の該当性、届出義務を負う事業者、PSマークの表示条件、事故報告義務、民事上の製造物責任は、それぞれ根拠と判断方法が異なる。とりわけ新規制の施行日と経過措置は製品群ごとに異なり、適用関係を混同すると、本来販売できる在庫を廃棄したり、反対に表示が必要な製品を販売し続けたりする危険がある。

本稿では、製品の企画と海外調達、輸入と販売、広告やプラットフォームへの掲載、事故の発見と回収、被害者対応、さらには事業買収後の統合までを一つの取引・危機管理の時間軸として捉える。制度の要件を確認するだけでなく、経営者、取締役会、法務部門、品質保証部門及び海外本社が、いかなる資料と契約上の権限を備えて判断すべきかを検討する。

本稿の要旨

2025年12月25日施行の改正製品安全4法は、消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律について、一定の海外直販取引における規制対象者を明確化した。海外事業者がPSマーク対象製品を日本の一般消費者へ国内輸入事業者を介さず直接販売する場合、特定輸入事業者としての届出、技術基準への適合、自主検査、所要の表示及び国内管理人の選任等を検討しなければならない。取引デジタルプラットフォームの利用は典型例であるが、販売サイトの名称や決済代行者の所在地のみで規制対象者が決まるわけではない。

国内管理人は、国内で行政機関からの通知を受領し、検査記録等を保管し、事故発生時の回収等に協力するための法定の接点である。海外事業者は、国内管理人の適格性に加え、委託契約、権限証明、記録保存、連絡体制及び必要な損害賠償措置を整えることが求められる。他方、国内管理人への選任だけで製品安全法上の届出事業者の責務が全面的に移転するわけではなく、国内管理人が当然に製造物責任法上の賠償責任を負うわけでもない。行政上の地位と契約上の責任、個別の民事責任を峻別する必要がある。

子供用特定製品では、2025年12月25日から乳幼児用玩具及び乳幼児用ベッドに新たな表示体系が適用され、2026年7月8日に乳幼児用ベッドガードとベビーカーが規制対象に加わった。乳幼児用玩具の施行日前製造・輸入品、乳幼児用ベッドの旧PSCマーク製品、ベッドガードとベビーカーの施行後の移行期間については、別々の経過措置がある。製品分類、設計上の対象年齢、試験方法、必要な警告表示及び在庫履歴を組み合わせて判断することが不可欠である。

販売後には、消費生活用製品安全法上の重大製品事故報告と、自主回収、危害防止命令、製造物責任法上の損害賠償という異なる制度が交錯する。重大製品事故を知った製造又は輸入事業者には、原則としてその認知から10日以内に消費者庁長官へ報告する義務がある。原因調査の完了を待つものではない。行政への報告とリコールの判断、被害者対応、製造物責任の成否を混同せず、それぞれの要件に沿って同時並行で対応する必要がある。

法務部門が販売開始時にPSマークを確認するだけでは十分ではない。商品ごとの規制該当性、届出事業者、型式と試験記録、販売チャネル、購入者追跡、事故報告、国内管理人との連絡及びM&A後の承継体制を連続して管理し、製品安全を取締役会の監督に服する企業統治の問題と位置付けるべきである。

第1章 製品安全4法の再編――越境ECで誰が規制上の責任を負うのか

製品安全規制の出発点は、製品そのものの危険性と法令上の分類である。消費生活用製品安全法は、一般消費者の生命又は身体に危害を及ぼすおそれが大きいとして政令で指定される特定製品にPSCマーク制度を設ける。電気用品安全法は一定の電気用品にPSEマーク制度を、ガス事業法及び液化石油ガス法は各種のガス用品、液化石油ガス器具等にそれぞれの規制を置いている。4法は販売対象の範囲、技術基準、検査や届出の手順に相違があるため、製品安全4法という総称だけで一律の義務を導くことはできない。食品、医薬品、医療機器その他個別法に服する製品についても、適用される制度を別途特定する必要がある。

従来の販売形態では、日本国内で事業として製品を輸入する者が技術基準適合性や表示を担うことを前提に監督が行われてきた。ところが、海外の販売者が国内の輸入事業者を介在させず、オンラインモールや自社サイトを通じて直接日本の一般消費者に製品を届けるとき、国内に従来型の規制主体が存在しない場合があった。令和6年法律第67号による改正は、そのような海外事業者について特定輸入事業者という規律を明確にし、2025年12月25日から適用するものである。海外に所在するという事実だけで販売が禁止されるのではなく、日本向け取引の実態に応じ、届出、基準適合及び国内管理人などの義務が問題となる。

規制対象者の特定は、ウェブサイトに表示された販売店名や輸送書類の名義だけでは完結しない。誰が日本の消費者との売買契約を締結し、どの主体が販売価格と在庫を決め、国内の輸入事業者が存在するか、物流会社やフルフィルメント事業者にどのような権限があるか、商品が国内倉庫へ搬入された後に誰が事業として販売するかを、取引の実態に即して整理する必要がある。経済産業省が2025年12月19日に公表した輸入事業者の明確化のための凡例集も、様々な流通形態で届出主体を取り違えないための資料である。国内の倉庫が保管しているというだけで倉庫会社が輸入事業者になるわけではなく、反対に、国内販売会社が存在するのに全ての義務を海外メーカーへ委ねればよいというものでもない。

消費生活用製品安全法の届出制度は、行政から個別製品の安全性について許認可を受ければ販売できるという構造ではない。対象となる製品を製造又は輸入する事業者が所定の事項を届け出た上で、技術基準適合義務及び自主検査等を履行し、要件を満たす場合に法定表示を付する仕組みである。特別特定製品には登録検査機関による適合性検査など、さらに重い要件がある。表示規制のもとでは、届出が認められるという条文表現を、対象製品を届出なく自由に販売できるという意味に読み替えることはできない。PSマークは、行政が個々のロットの品質を保証した印でも、製造物責任の免責証明でもない。

例えば、海外製の子供向け電動製品を日本で発売する場合、本体が乳幼児用玩具として消費生活用製品安全法の対象となり得る一方、付属のACアダプターなどの電気用品が電気用品安全法の対象となる可能性がある。同じ商品ページに掲載される製品であっても、基準適合、表示及び関係書類の確認は法令・部品ごとに行う必要がある。他方、法的に対象外の付属品までPSマークの取得対象であると説明し、実在しない行政認証の取得を契約上義務付けることも避けるべきである。

2025年の改正は、海外直販事業者に責任を付加したのであって、日本国内で製品を輸入して販売する事業者の従来からの義務を廃止したものではない。海外メーカー、国内輸入販売会社、国内管理人、モール運営者、流通事業者を同一の義務主体と扱わず、各主体がどの法律上の役割を担い、どの情報を保有するかを明確にしなければならない。企業が最初に作成すべきものは一律の安全宣言ではなく、SKUごとの製品分類と、事業主体ごとの法的責任・契約上の業務・行政連絡先を接続した規制マップである。

この規制マップは、事業開始の一回限りの確認書にとどめてはならない。販売の途中で海外直販から国内総代理店による輸入販売へ移行し、OEMの表示を変更し、物流委託先を差し替え、対象年齢や仕様を修正した場合、従前の届出や検査記録の位置付けが変わることがある。新規製品の企画会議だけでなく、販売主体、型式、設計及び取引スキームの変更審査にも製品安全のレビューを組み込むことが、改正後の実務の基礎となる。

第2章 特定輸入事業者と国内管理人――行政上の接点を契約と記録に落とし込む

海外事業者が特定輸入事業者に該当するとき、制度上の中核となるのが国内管理人の選任である。国内管理人は、日本において安全確保に必要な措置をとらせるために指定される者であり、個人・法人のいずれもなり得るが、日本国内に住所を有すること、日本語で必要な意思疎通ができること等の省令上の基準を満たさなければならない。国内管理人を名簿に記載するだけで、必要な行政対応を実行できる体制がなければ、制度の趣旨を満たしたことにはならない。製品分野の知識、文書管理能力、海外本社との連絡経路及び代替担当者の有無まで確認しておくべきである。

経済産業省の特定輸入事業者向け案内では、届出に際して国内管理人の登記事項証明書又は住民票の写し、権限証明書、委託契約書等の提出を求め、委託契約の最低限の事項として、経済産業大臣との連絡体制、製品の回収その他の危害防止措置、行政の処分や通知の受領権限、検査記録や適合性証明書の写しの授受・保存、報告徴収や立入検査等への対応を示している。行政手続は法令が定める枠組みに従って行われるのであり、外部の支援者が海外事業者の承諾を得ずに届出を代行することも許されない。法律事務所、物流会社、販売代理店その他の第三者が関与する場合には、誰の権限で何を届け出るかを記録すべきである。

最も誤解されやすいのは、国内管理人が日本の輸入事業者又は民事上の全責任を負う保証人へ自動的に置き換わるという理解である。令和6年改正に関する経済産業省の質疑資料は、国内管理人は製品安全4法の行政執行等の観点から選任される者であり、選任されたことのみを理由として製品に起因する損害賠償責任を当然に負うことは予定されていないと説明している。他方、国内管理人が実際に製造、輸入、表示、事故対応等へ関与して別の法的義務を負う場合や、自己の違法な行為により損害を生じさせた場合の民事責任まで一律に否定するものではない。規制上の地位、委託契約に基づく債務及び不法行為等に基づく責任は別々に判断しなければならない。

国内管理人との契約は、名義貸しを排するための実務文書である。海外事業者が技術基準の判定と試験報告書の真正性を保証し、製造工場の仕様変更やサプライヤー変更を事前報告すること、国内管理人が所定の記録を適切に保存し、行政照会を速やかに転送すること、重大事故やリコールの疑いがある事実の通知期限と緊急連絡経路を定めることが考えられる。さらに、行政立入検査への協力、記録の所在、原本と翻訳の優先関係、費用負担、契約解除時の文書移管及び後任の選任まで組み込まなければ、海外事業者の撤退や役員交代によって連絡経路が消失しかねない。

消費生活用製品安全法に係る届出では、製品の欠陥によって消費者に損害が生じた場合に備える損害賠償措置が求められる。経済産業省の2026年5月改訂の法令業務実施ガイドは、所定の損害賠償責任保険について、被害者一人当たり1,000万円以上、年間3,000万円以上の填補限度額等を示している。この要件は、全ての商品のPL保険加入を一律に義務付ける製造物責任法とは性質が異なり、消費生活用製品安全法における届出事業者の制度上の義務として理解すべきである。保険の被保険者、補償対象、契約期間及び海外直販の取引実態との整合を確認する必要がある。

特定輸入事業者から国内管理人へ交付される自主検査記録や、特別特定製品の適合性検査証明書の写しは、行政対応時に検索できることが重要である。外国語の検査資料の保存だけでは、対象型式、実施した試験、検査日、工場及び出荷ロットとの対応関係が説明できない場合がある。法務と品質保証部門は、契約書の別紙に文書の一覧、更新時期、保存媒体、版管理、監査時の提出期限及び事故時の閲覧権限を定め、実務を検証可能にすべきである。

海外事業者の日本市場への参入支援で見落とされがちなのは、届出完了後の事業継続体制である。国内管理人の任期満了、委託契約解除、実質的な業務停止、住所の変更、海外メーカーのM&A又は担当役員の退任は、行政との連絡や記録保存を維持できるかという問題を生じさせる。これらの変更を取引先やモールへ通知する範囲、届出事項の変更手続及び安全上の販売継続判断は、契約の継続条項やガバナンスと連動させなければならない。制度の本質は国内管理人という名称を置くことではなく、海外の規制主体を日本の行政執行と製品回収に結び付ける継続的な責任の連鎖にある。

第3章 子供PSCマークと2026年の対象拡大――製品分類、年齢表示及び経過措置

2025年12月25日に導入された子供用特定製品制度は、PSCマークの対象を単純に増やしただけではない。子供が製品を使用する場合の危険について、製品の技術基準への適合に加え、使用に適した年齢及び使用上の注意を適切に表示させるものである。消費生活用製品安全法第2条第4項及び第12条の2等は、子供用特定製品の法的位置付けと使用年齢基準への適合義務を定めている。制度の適用は製品の設計目的と用途に基づいて判断されるのであって、宣伝文句やパッケージの年齢数字を形式的に操作して規制を回避できるものではない。

乳幼児用玩具については、出生後36か月未満の乳幼児の遊戯に使用することを目的として設計されたものが規制対象となる。経済産業省の公式案内によれば、届出事業者は所定の技術基準適合確認と自主検査記録の作成・保存を行い、対象年齢及び保護者が見守る旨などの警告表示を付した上で、丸型の子供PSCマークを表示する。技術基準への適合確認を外部試験機関へ依頼することは可能であるが、乳幼児用玩具は特別特定製品ではないため、登録検査機関による法定の適合性検査を必ず受けるという構造ではない。試験の外注を行っても、届出事業者の判断と記録管理の責務は残る。

対象年齢の検討では、いわゆる3歳以上と表示したという一事だけで規制対象外と結論付けることはできない。設計された用途、外形、材質、機能、遊び方、広告画像、販売カテゴリ及び消費者が通常想定する利用者層を総合的に確認する必要がある。製造委託先が海外向け製品に年齢表示を付していたとしても、それが日本法上の使用年齢基準と一致するとは限らない。また、ISO、EN、ASTM等の例示規格に関する行政上の取扱いや、一定のST基準適合についてのノーアクションレターは、技術基準適合の判断に関連するものであり、必要な事業届出や子供PSCマークの表示を不要にする一般的な免除制度ではない。

乳幼児用ベッドは、改正前から特別特定製品として規制されていた点が玩具と異なる。2025年12月25日から子供用特定製品にも指定され、ひし形の子供PSCマークへの移行が求められるが、従来から必要な登録検査機関による適合性検査は引き続き必要である。経済産業省の公式資料は、従前のひし形PSCマークによる製品について、2027年3月24日までの経過措置を示し、翌25日以降は旧マーク品を販売できないとする。既存の適法な在庫を扱う企業は、製造・輸入時期、現物の表示及び移行期限の対応を、品番と在庫単位で記録する必要がある。

さらに、消費生活用製品安全法施行令の2026年改正(令和8年政令第117号)は、同年7月8日から乳幼児用ベッドガード及びベビーカーを子供用特定製品かつ特定製品に追加した。前者は主として家庭で出生後60か月以内の乳幼児のベッドからの転落防止を目的として取り付ける器具、後者は主として家庭で出生後36か月以内の乳幼児を運送することを目的として設計された小型の車という定義を基本とする。対象に該当するかは実際の構造と用途を確認すべきであり、一般的なサイドレールや荷物用カートを名称だけで同一に扱うべきではない。

2026年7月8日の規制開始と、店頭在庫の販売可否を混同することはできない。経済産業省の公式FAQによれば、乳幼児用ベッドガードについては2027年7月7日まで、ベビーカーについては2028年7月7日まで、所定の経過措置により子供PSCマークを付していない製品も販売可能とされる。乳幼児用玩具の施行日前に製造・輸入された製品についての扱いとも異なる。したがって、単に2026年7月以降はマークのないベビーカーの全販売が違法だと断定することも、移行期間があるから新たな製造・輸入に関して技術基準を検討しなくてよいと理解することも誤りである。

特に乳幼児用ベッドガードでは、出生後18か月未満の乳幼児が睡眠に使用すると窒息等の危険があるとの事故実態を踏まえた公式の注意がある。適合した材料を用いるだけでは足りず、消費者がどの年齢の子供にどのように使用してよいかを誤解しない設計と表示が必要となる。ECの商品名、推薦年齢、画像、レビュー紹介、同梱説明書の日本語表記が矛盾すれば、正式な製品表示が整っていても危険な使用を招きかねない。商品ページの制作、物流在庫、法令上の表示検証を別々の部署に閉じ込めないことが重要である。

子供用特定製品の実務対応は、個別のマークを貼り替える作業では完結しない。製品開発段階で対象年齢と使用環境を確定し、試験の仕様と認証の要否を明確にし、製造工場の変更や材料の変更が技術基準適合性に影響するかを継続的に評価する必要がある。販売段階では、施行日前在庫と施行後在庫を混在させないロット管理、販売チャネル横断の表示確認及び消費者の使用方法に関する問い合わせを、事故予防の情報として品質保証部門へ還流させるべきである。

第4章 取引デジタルプラットフォームと販売網――出品停止の権限と事業者の協力(努力義務)

海外直販の実務では、取引デジタルプラットフォームを通じた売買と、その製品に関する法律上の責任を分けて検討する必要がある。オンラインモール、オークションサービスその他消費者向けに売買の場を提供する事業者は、売主や輸入事業者と当然に同一ではない。他方、販売主体の表示が不透明で、海外の製造又は輸入事業者へ連絡できない場合には、プラットフォームが危険な製品の流通を止めるための現実的な接点となる。この事情が、2024年改正における取引デジタルプラットフォーム提供者に関する規律の背景にある。

消費生活用製品安全法第32条の2は、特定製品に関する危害防止命令等の履行に対し、取引デジタルプラットフォーム提供者の協力に係る努力義務を定める。同法第32条の3は、所定の危害発生のおそれがあり、関係事業者が特定できない等の事情から必要な措置が期待できない場合で、特に必要があるとき、主務大臣が当該プラットフォームに対して販売に係る利用停止等の措置を要請できる仕組みを置く。また、特定製品以外を含む消費生活用製品についても、同法第39条の2が一定の場合の危害防止要請を規定する。これらを一律の出品前の行政認可制度と理解することはできない。

ここで区別すべきなのは、行政機関がプラットフォームへ行う危害防止の要請、プラットフォームが利用規約に基づいて行う自主的な出品停止、そして販売者に対する法令上の改善命令や回収命令である。相互に関連しても、法的な根拠、相手方、効果は異なる。政府の要請があったことのみで、利用者に対する全商品の販売保証義務が当然に創設されるわけではない。他方、販売者の連絡先や型式・ロット情報を確認できない出店管理の仕組みは、危険を把握した後の販売停止と消費者への告知を著しく困難にする。

プラットフォーム運営会社が実務として検討すべきなのは、法定の義務を過大に解釈することではなく、危険な出品を迅速に特定し、削除又は停止した事実を検証できる管理設計である。対象商品の販売者識別情報、該当するPSマークの写真、必要な届出情報及び問い合わせ先を商品カテゴリに応じて収集し、商品ページを更新した際の履歴を残す。消費者から事故や欠陥の通報があった場合には、窓口がその通報を販売者、製造又は輸入事業者及び必要に応じ行政機関へ引き継げるようにする。こうした措置は規制上の役割と契約上の自主措置を区別した上で実装すべきである。

販売者側では、プラットフォームの審査を通過したことを国の技術基準適合の代替証明と考えてはならない。表示画像が真正であるか、届出事業者名と型式が正しいか、検査結果が当該ロットに対応するかを判断するのは、法令上の地位を負う者の責務である。特に複数のモールと自社ECを併用する企業は、あるチャネルで掲載停止となった製品を別のチャネルで販売し続けないよう、商品情報と停止命令を集中管理する必要がある。SNSから直接注文を受ける販売形態でも、決済の導線を外部へ移しただけで製品安全法が適用されなくなるわけではない。

OEMメーカー、国内販売代理店、海外直販者及びモール事業者の間では、事故の報告と購入者への連絡に必要な情報の保有主体が分散することが多い。製造側が製品の故障率を把握し、モール側が購入者の連絡先を把握し、国内管理人が行政連絡を担うのであれば、事故時にのみ情報共有を協議する体制では遅い。契約締結時に、法令とプライバシー上許容される範囲で、リコール時の連絡手順、返品・返金の負担、データ提供の範囲及び緊急の出品停止基準を定めるべきである。

この分野の法務判断において重要なのは、ある企業を一度だけ販売者、輸入者又はプラットフォーム提供者という名称で分類して終えることではない。同じ会社が、商品によって自ら輸入販売を行い、別の商品では第三者の出品場所を提供し、さらに別の商品では国内管理人の役割を引き受けることもあり得る。各商品と取引ごとに法定地位を確認し、行政要請への対応と契約上の権限を矛盾なく配置することが、越境ECの拡大と消費者の安全を両立させる条件となる。

第5章 重大製品事故とリコール――10日報告から回収の実効性まで

製品の販売後に事故が発生した場合、企業にとって最も重要なのは、事故原因が最終的に確定するまで何もしないという選択を避けることである。消費生活用製品安全法第35条は、製造又は輸入の事業を行う者が、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について重大製品事故が生じたことを知ったとき、所定の事項を内閣総理大臣に報告する義務を定める。実務上の報告先は消費者庁長官であり、報告期限は原則として事故発生を知った日を含めて10日以内である。死亡、重傷病、火災、一酸化炭素中毒などに関する法定の重大製品事故の該当性は、法令と事故の客観的情報に照らして判断する。 なお、製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故は、同法上の「製品事故」から除かれるため、単に事故原因が不明である場合とは区別しなければならない。

この10日という期限を、工場の原因分析が終わった日から数えると理解してはならない。事故の情報を受領した段階で、対象製品の型式、事故の発生状況、被害内容、販売数量その他報告事項を迅速に把握し、未確定の事情についてはその旨を適切に整理した上で対応することが求められる。実際の事故情報は、消費者からの苦情、販売店への連絡、SNSの投稿、保険会社への通知、国外グループ会社の品質報告など、企業の複数の経路から届く。このため、窓口ごとに報告期限の起算点が見落とされないよう、重大事故の疑いを検知したときの社内の伝達先と判断責任者を定める必要がある。

行政への重大製品事故報告と、製品のリコールは別の判断である。法第38条は、製造又は輸入事業者が製品事故の原因を調査し、必要な場合に自主回収等の措置をとるよう努めることを予定し、販売事業者にも協力に係る規律を置いている。他方、一定の危険性が認められる場合には、法第32条又は第39条に基づく危害防止命令として回収等の措置が命じられ得る。自主回収、回収への協力に関する努力義務、行政命令を受けて履行すべき義務は混同できない。原因が確定していないことは、緊急の販売停止や予防的回収を検討しない理由にはならない。

リコールの必要性は、単発の苦情の重大さだけでなく、想定される危害の程度、発生頻度、故障モード、設計又は製造ロットの共通性、使用者層及び回収しない場合の被害拡大を踏まえて判断する。対象範囲を狭く設定すれば対応費用は一時的に小さくなるが、重大な故障原因の共通性を見落とすと事故が継続する。逆に不必要に広い回収は供給停止や事業継続に重大な影響を与える。経済産業省のリコールハンドブックが重視するリスク評価とトレーサビリティは、合理的な回収範囲を説明するための判断資料となる。

2026年7月22日、消費者庁は、リコール対象のリチウムイオン式ポータブル電源に関する火災等を含む重大製品事故を公表した。公表資料は事故の報告と既存の回収措置の関係を示すものであって、掲載された全事例について欠陥や最終的な民事責任が確定したことを意味しない。しかし、リコールを公表したという一事で市場の危険が消えるわけではなく、対象製品の利用者に実際に届く回収・改修・交換が必要であるという実務上の問題を浮かび上がらせる。

現実に回収を完遂するためには、製品コードとロットから出荷先を特定し、モール運営者や販売店の協力を得て購入者に通知し、返送、交換、修理、廃棄及び返金の受付を追跡できなければならない。海外の製造事業者が回収費用を負担すると契約で約束していても、日本語の問い合わせ窓口や国内の回収物流が整わなければ措置は遅れる。企業は、回収実施率や未対応販売数量を確認し、連絡が届かない利用者への周知方法を継続的に見直すべきである。

事故調査では、現物、写真、検査記録、製造履歴、顧客とのやり取り、サービスログ及び社内での技術判断の経緯を、後日検証できる形で保全する必要がある。事故品を直ちに分解・修理すると原因究明や証拠評価に影響する可能性があるため、被害者の安全を優先しながら、専門家と協議して適切な保管・検査手順を設ける。海外本社へのデータ移転や第三者調査会社の起用では、個人情報保護と訴訟対応上の情報管理も併せて確認すべきである。

公表文や被害者への説明は、確定した事実と調査中の事項、実施する安全措置を区別して記載するべきである。必要な報告をためらって責任問題だけを先送りすることも、法的根拠を確認せずに全ての事故を自社の欠陥と断定することも適切ではない。経営者が監督すべきなのは、事故の初期報告から回収対象の決定、消費者への通知、改善措置の実施及び再発防止に至るまで、判断の時点と根拠が連続して記録される危機管理体制である。

第6章 製造物責任法と民事請求――行政上の適合と損害賠償責任の違い

製品安全4法への適合は、行政上、製品を適法に製造又は販売するための規律である。これに対し、製造物責任法は、製造又は加工された動産の欠陥によって人の生命、身体又は財産に被害が生じた場合の損害賠償責任を定める。両制度は保護する利益に共通性があるが、法的効果と判断資料は同一ではない。PSCマークやPSEマークがあることをもって製品に欠陥がないと断定することはできず、逆に行政上の表示違反があることだけで全ての損害について製造物責任が自動的に成立するものでもない。

製造物責任法第2条は、製造物を製造又は加工された動産とし、欠陥を、当該製造物の特性、通常予見される使用形態、引渡時期その他の事情を考慮して通常有すべき安全性を欠いていることと定義する。一般に設計、製造及び警告・表示に関する欠陥が問題となるが、法文自体はこれらを機械的な三分類で列挙しているわけではない。たとえば乳幼児用の製品では、構造上の挟み込みや窒息の危険だけでなく、通常予見される使用状態を前提に必要な注意表示があるかが安全性判断に影響し得る。

同法第3条に基づく賠償請求では、被害者は原則として製造物の欠陥、生命・身体又は他の財産に生じた損害及び因果関係を問題とする。民法第709条に基づく通常の不法行為責任と異なり、製造業者等の過失の立証を要件としないというのが制度の特徴である。ただし、製品自体に生じた損害だけの場合は同法第3条ただし書により製造物責任の対象外であり、売買契約上の債務不履行、契約不適合責任又は一般不法行為等の検討が残る。事故が生じたという事実だけで、あらゆる法的請求の成立を一括して説明することはできない。

責任主体についても慎重な切り分けを要する。同法第2条第3項は製造、加工又は輸入した者に加え、製造業者としての氏名等を製品に表示した者その他所定の表示製造業者等を規律する。国内の販売会社が単に他社製品を販売するだけで当然に同法上の製造業者等になるわけではないが、自社ブランドの表示態様や製品への関与によって結論が変わり得る。また、PL法の対象とならない販売者についても、具体的事情に応じて民法上の責任や契約上の義務が問題となる場合がある。ブランド契約と製品表示は、民事責任の帰属を左右する重要な証拠となる。

特定輸入事業者及び国内管理人に関する2025年改正を、製造物責任法の責任主体を一律に書き換えた改正と理解してはならない。製品安全4法に基づく行政の連絡先・管理人という地位から直ちに製造物責任法上の輸入業者該当性が導かれるものではなく、逆に国内に責任者を置いたから海外の実質的な販売者や製造者の民事責任が消失するわけでもない。越境事故では、準拠法、国際裁判管轄、当事者の特定、送達及び判決の執行可能性も個別に検討しなければならない。これは日本法上の製品安全届出とは別の国際民事法上の問題である。

損害賠償請求の時効も、製品の販売終了やリコール公表によって一律に決まるわけではない。製造物責任法第5条は、原則として被害者等が損害及び賠償義務者を知った時から3年、生命又は身体を侵害した場合には5年、さらに製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年という期間を定め、一定の潜伏性損害等については特則を設ける。事故記録や設計変更履歴を保管する期間は、行政法上の検査記録保存期間だけを基準に短く設定してよいものではない。

製造物責任法には、法定の免責事由も存在するが、その適用は個々の事故の技術的事実及び引渡時期等によって厳格に判断される。国内外の規格への適合証明、試験機関のレポート、製品安全マーク及び保険契約は、適切な安全管理を説明するための重要な資料である一方、あらゆる訴訟リスクを消すものではない。製品安全4法上の損害賠償措置と、事業者の任意のPL保険、製造物責任法に基づく実体的な損害賠償責任について、それぞれの法的性質を取り違えるべきではない。

国際的な製品事故の解決では、製造元が技術情報を、国内販売者が消費者情報を、国内管理人が行政対応資料を持つことが少なくない。そのため、被害対応を担当する会社が必要な証拠へ適法かつ迅速にアクセスできるよう、平時から法令適合資料、技術文書及び保険関係書類の共同利用範囲を契約に定めることが重要である。行政上の適合を確保するプロセスと、事故後に法的責任を合理的に評価するプロセスをつなぐものは、最終的には記録と説明可能な意思決定である。

第7章 供給契約、M&A及び取締役会の監督――製品のライフサイクルを統制する

改正製品安全4法への対応は、輸入通関時に確認するチェックシートではなく、商品企画から廃番後の事故対応まで続く管理の連鎖として構築するべきである。企業が製品を企画する段階では、まず法令上の対象品目と必要なマーク、国内外の届出主体、設計用途及び使用年齢、技術基準の判定方法を確定する。その後、試験結果とサンプルの同一性、部品変更の承認ルール、量産品の抜取検査と記録保存、出荷先ロット、EC商品ページの警告表示、販売停止時の社内権限を一つの台帳へ接続する。この台帳は商品を識別するためだけではなく、誰の判断で安全性が確認されたかを経営陣が追跡できる資料となる。

海外の製造委託契約又は販売基本契約では、製品仕様、法令適合、試験及び表示に関する表明保証を抽象的に置くだけでは足りない。技術基準に適合する試験方法及び必要資料の提出時期、製造工場と重要部品の変更の事前承認、第三者試験結果の監査可能性、偽造又は不正確な表示の禁止、販売後に判明した不具合情報の通知、欠陥が疑われるロットの隔離、行政照会への協力並びに回収の費用分担を、履行可能な義務として定めることが考えられる。相手方に契約違反があれば当然に行政上の責任が移転するものではない以上、契約の目的は、実際に安全措置を実行するための権限と資料を確保することにある。

国内管理人との委託契約及びモール運営者との出品契約も、同じ品質保証体系に組み込まれる必要がある。国内管理人への連絡と事故のエスカレーション、モールからの出品停止通知、製造者からの重大不具合報告が別々のシステムに記録されるだけでは、同一製品について異なる対応が進行しかねない。法務、品質保証、CS、情報システム及び経営企画の責任者が、どの事実を共有し、誰が販売停止を決定し、誰が行政当局へ報告するかをあらかじめ合意しておくべきである。

製品を取り扱う会社の買収や事業譲渡では、在庫とブランド価値の評価に加えて、過去の製品安全上の対応状況を調査する必要がある。デューデリジェンスの対象は、届出及びマークの適法性、型式別の試験記録、製造契約、国内管理人契約、過去の重大製品事故、回収・返金実績、未解決の苦情、行政機関とのやり取り、PL保険の支払限度及び長期の潜在債務に及ぶ。対象会社が輸入主体を変更する取引では、クロージング前後に、誰が新規製品を届け出、既存在庫を適法に販売し、事故時の資料を保有するかを確認する必要がある。

株式譲渡契約や事業譲渡契約では、適法な届出・表示の維持、重要な事故や行政通知の不存在に関する表明保証だけでなく、サイニングからクロージングまでの新たな重大事故の通知義務、回収が必要となった場合の協力、在庫品の取扱い、損害賠償請求に対する情報提供、特定のリスクについての補償又は価格調整を検討する。製造元から試験記録を受領できないまま買収を実行した場合、PMI段階で情報が欠落する危険がある。契約交渉の初期に製品安全の管理者を参加させなければ、法務DDが形式的な許認可の一覧確認に終わりかねない。

リコール費用や潜在的な製造物責任は、企業価値の評価にも影響する。回収対象の推定販売台数、購入者への到達可能性、修理及び交換単価、物流費、保険の免責額と補償範囲、海外製造元への求償可能性を、できる限り確認できる情報に基づいて検討すべきである。未発生の損害を機械的に確定債務として扱うことも、現時点で訴訟がないことを理由に全く考慮しないことも適切ではない。経営と会計上の評価は、法律上の責任の成立可能性及び事実関係の確度と整合させる必要がある。

取締役会の監督においては、製品安全の担当部署があることのみをもって内部統制が実効的であると判断すべきではない。対象製品と販売チャネルの網羅性、法令改正に伴う商品分類の更新、未提出の試験資料、事故情報の経営陣への報告所要時間、リコール対象への到達率及び是正措置の完了状況等が重要となる。深刻な事故では、営業損失や信用毀損への懸念と安全措置の必要性とが衝突し得るため、経営陣が販売停止・回収を判断する客観的な基準と権限を平時に設けておくことが求められる。

企業の製品安全統制が機能するかどうかは、安全な製品を企画し、適法に市場へ供給できることだけでは決まらない。不具合が疑われたときに、取引先へ必要な情報を求め、行政と連絡し、顧客に危険を伝え、回収等を実行し、その過程を後日説明できるかによって試される。2025年及び2026年の制度改正を単発の表示規制として処理するのではなく、調達、越境取引、製造、販売、危機管理、M&Aを横断する恒常的な企業統治へ組み込むことが、経営者及び法務責任者に求められる判断である。

FAQ(よくある質問)

Q1 製品安全4法とは何か。全ての海外製品にPSマークが必要になるのか。

製品安全4法は消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法及び液化石油ガス法を指す。PSマークは各法の対象製品について必要となるのであり、海外製品の全てに一律の表示義務があるわけではない。製品の法的分類と取引主体を確認する必要がある。

Q2 海外事業者が日本のモールで販売すれば、必ず特定輸入事業者となるのか。

モールへの出品だけで機械的に決まるものではない。国内の輸入事業者を介さず日本の一般消費者へ直接販売する事業者か、誰が契約主体となるかなどの取引実態を確認する。経済産業省の輸入事業者の明確化のための凡例集が参考となる。

Q3 国内管理人は日本法人でなければならず、製品事故の賠償責任を全て負うのか。

国内管理人は基準を満たせば個人も法人もなり得る。行政上の連絡、書類保存及び危害防止措置などの役割を担うが、その地位だけで全ての製品事故について製造物責任法上の賠償義務が当然に生じるわけではない。実際の行為、契約及び他法令による責任は別途検討する。

Q4 国内管理人を選任しない海外事業者がPSマーク対象商品を販売できるか。

特定輸入事業者に当たる場合、法令に沿う国内管理人の選任及び届出等が必要となる。経済産業省は、国内管理人を選任しない特定輸入事業者は所定のPSマークを付して対象商品を販売できないと説明している。

Q5 乳幼児用玩具で3歳以上との表示を付せば規制対象外になるか。

形式的な表示だけでは決まらない。出生後36か月未満の乳幼児の遊戯を目的として設計された製品かを、設計、機能、広告及び通常想定される使用方法から判断する。対象品では基準適合、警告表示及び子供PSCマーク等が必要となる。

Q6 玩具のSTマークや海外の安全規格があれば子供PSCマークを省略できるか。

一般的には省略できない。一定の規格適合やST基準に関する行政の取扱いは技術基準適合の判断に関連するが、法定の届出、使用年齢・警告表示及び子供PSCマークの義務を一律に免除するものではない。

Q7 乳幼児用ベッドの旧PSCマーク品はいつまで販売できるか。

経済産業省の公表資料は、2027年3月24日まで旧マーク品の販売を認める経過措置を示し、同月25日以降は旧マーク品を販売できないとしている。乳幼児用ベッドに必要な登録検査機関の適合性検査は引き続き必要である。

Q8 2026年7月からベビーカーとベッドガードのマークなし在庫は直ちに販売禁止か。

直ちに全てが販売禁止となるわけではない。乳幼児用ベッドガードは2027年7月7日まで、ベビーカーは2028年7月7日まで、所定の経過措置によりマークなし品の販売が認められる。適用対象や新規製造・輸入の義務は別途確認する。

Q9 乳幼児用玩具は必ず登録検査機関の検査を受けなければならないか。

乳幼児用玩具は子供用特定製品であるが特別特定製品ではないため、届出事業者による技術基準適合確認と自主検査が基本となる。外部試験機関を利用できるが、登録検査機関による法定検査が必要な乳幼児用ベッドとは異なる。

Q10 重大製品事故の行政報告は事故原因が確定してから10日以内でよいか。

よくない。消費生活用製品安全法第35条による製造又は輸入事業者の報告は、原則として重大製品事故の発生を知った日を含めて10日以内であり、原因調査の完了を待つ制度ではない。事故の該当性と未確定情報を整理し、適時に対応する。 もっとも、当該製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故と、原因が未解明の事故とは区別する必要がある。

Q11 オンラインモール運営者は危険な出品について常に輸入事業者と同一の責任を負うか。

一律には負わない。取引デジタルプラットフォーム提供者には危害防止命令への協力等に係る規律があり、一定の要件の下で行政から販売停止等の要請を受け得る。ただし、各商品の製造又は輸入事業者に該当するかは取引実態ごとに判断する。

Q12 製品事業のM&Aで最も重要な製品安全の確認事項は何か。

対象品目ごとの届出とマーク、設計・試験・検査記録、製造元や国内管理人との契約、事故とリコール履歴、在庫の経過措置、製造物責任と保険、事故時の情報共有体制が中心となる。クロージング後の輸入主体や国内管理人の変更も含め、事業継続可能性を評価すべきである。

代表弁護士 道下剣志郎「Legal Update」について

SAKURA法律事務所及び代表弁護士 道下剣志郎は、企業法務、国際取引、M&A、プライベート・エクイティ、企業統治、金融規制、テクノロジー、経済安全保障、コンプライアンス及び企業危機管理など、企業経営上の重要な法的課題について、公式一次資料に基づくLegal Updateを継続的に公表している。本シリーズは、法令に基づく義務と行政指針、裁判例及び個別の実務提言を峻別し、制度の解説を具体的な事業判断、取引設計及び紛争対応へ接続することを目的とする。著者及び事務所の情報は、SAKURA法律事務所公式サイト及び代表弁護士 道下剣志郎のプロフィールページを参照されたい。

関連情報:SAKURA法律事務所 公式サイト / 代表弁護士 道下剣志郎 プロフィール

SAKURA法律事務所に相談できる事項

SAKURA法律事務所では、製品安全4法の適用範囲と海外直販スキームの検討、特定輸入事業者の届出と国内管理人契約、子供用特定製品の規制該当性と表示・資料管理、海外メーカー・販売代理店・ECプラットフォームとの契約、製品事故発覚時の初動と行政報告、リコール及び損害賠償対応、製品事業のM&Aとデューデリジェンス、取締役会の製品安全ガバナンス等について、関係する法分野を横断した法的検討を行うことができる。個別製品の技術的適合性や試験結果の判定については、所管行政機関及び専門試験機関との連携を要し、法律事務所が行政上の届出・検査・認証やその結果を代替するものではない。

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主な参考資料

1. 衆議院|消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律(令和6年法律第67号、成立法)

2. e-Gov法令検索|消費生活用製品安全法(昭和48年法律第31号)

3. e-Gov法令検索|消費生活用製品安全法施行令(昭和49年政令第48号、令和8年7月8日施行の改正を含む)

4. e-Gov法令検索|電気用品安全法(昭和36年法律第234号)

5. e-Gov法令検索|ガス事業法(昭和29年法律第51号)

6. e-Gov法令検索|液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)

7. 経済産業省|製品安全4法改正の制度説明資料(2025年公表の参考資料。2026年7月の追加指定前)

8. 経済産業省|消費生活用製品安全法等の改正法律案の閣議決定(2024年3月1日、経済産業省公式英語資料)

9. 経済産業省|消費生活用製品安全法等の改正概要・海外事業者への規制拡張(2025年8月、経済産業省公式英語資料)

10. 経済産業省|海外事業者が製品安全4法の規制対象となりました(特定輸入事業者・国内管理人)

11. 経済産業省|輸入事業者の明確化のための凡例集(令和7年12月19日)

12. 経済産業省|消費生活用製品安全法 法令業務実施ガイド(令和8年5月19日改訂)

13. 経済産業省|製品安全4法改正に関するFAQ(事業者向け)

14. 経済産業省|消費生活用製品安全法特定製品関係の運用及び解釈について(令和8年5月11日改正)

15. 経済産業省|消費生活用製品安全法の概要(PSC制度、流通後規制)

16. 経済産業省|乳幼児用玩具に対する新たな規制の案内

17. 経済産業省|乳幼児用ベッドが子供用特定製品に指定されました

18. 経済産業省|乳幼児用ベッドの子供PSCマークへの移行説明資料

19. 経済産業省|乳幼児用ベッドガード・ベビーカーの規制案内(令和8年7月8日施行)

20. 経済産業省|乳幼児用ベッドガード・ベビーカーの指定に関するFAQ(令和8年5月)

21. 経済産業省|消費生活用製品安全法施行令改正の閣議決定(令和8年4月3日)

22. 経済産業省|乳幼児用ベッドガード・ベビーカーに関する施行令改正の閣議決定(2026年4月3日、経済産業省公式英語資料)

23. 経済産業省|インターネット取引における製品の安全確保

24. 経済産業省|消費生活用製品安全法・流通後規制(重大製品事故報告とリコール)

25. 消費者庁|消費生活用製品の重大製品事故の報告義務等について(2021年公表の制度概要)

26. 消費者庁|消費生活用製品の重大製品事故報告義務の概要(2026年4月、消費者庁公式英語資料)

27. 消費者庁|製品事故情報報告・公表制度の事業者向けハンドブック2025(消費者庁公式英語資料)

28. 経済産業省|消費生活用製品のリコールハンドブック2022(2022年公表の全体版)

29. 経済産業省|リコールハンドブック概要版(2024年3月)

30. 消費者庁|2026年7月22日の重大製品事故公表(リコール製品を含む)

31. e-Gov法令検索|製造物責任法(平成6年法律第85号)

32. 日本法令外国語訳データベース|製造物責任法の英訳(参照用・旧版。法的効力は現行の日本語法令を優先)

33. 消費者庁|製造物責任(PL)法の逐条解説

34. 消費者庁|製造物責任法の概要Q&A

免責事項

本稿は、2026年10月9日までに公表されている消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法、液化石油ガス法、令和6年法律第67号、2026年改正の関係政令・省令、経済産業省の公表資料、消費者庁の製造物責任法に関する解説及び重大製品事故の公表資料等の公式一次資料に基づく一般的な法律情報であり、個別の製品、企業、事故、契約又は訴訟についての法律意見を示すものではない。対象製品の分類、特定輸入事業者・国内管理人の地位、技術基準、表示及び経過措置、製造物責任の成否は、適用時点の法令と製品・取引・被害の具体的事情により異なる。行政ガイドライン及びFAQは法令そのものではなく、リコール情報や重大製品事故の公表も個別の欠陥・民事責任を確定するものではない。事業開始、広告表示、国内管理人の選任、回収及びM&Aに着手する際には、最新の公的資料、所管機関の取扱い、技術的な検査結果等を確認し、個別事情に即した検討を要する。 なお、2026年10月23日に最終校訂を実施し、本文の主要な施行日、経過措置及び参照資料の日英対応を点検したが、法令・通達及び個別行政運用の変更可能性を排除するものではない。

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