SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下剣志郎 Legal Update
2026年9月25日(2026年10月5日全面改訂)
SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下 剣志郎
SAKURA法律事務所は、代表弁護士 道下剣志郎によるLegal Update第18回「外国判決を日本で承認・執行する実務――民事訴訟法118条、執行判決、間接管轄、国際送達、公序・懲罰的損害賠償、相互保証と資産回収【2026年版】」を全面改訂しました。
海外で日本企業その他の債務者に対する勝訴判決を取得しても、その判決書だけで日本の銀行預金、売掛金、不動産その他の資産を直ちに差し押さえることはできません。外国裁判所の確定判決が日本で効力を有するためには民事訴訟法118条の要件を満たす必要があり、日本の国家執行機関を用いて強制執行するためには、さらに民事執行法24条に基づく執行判決を取得する必要があります。ここで問われるのは、外国裁判所の判断が日本の裁判官から見て「正しかったか」ではなく、日本法がその外国判決を自国法秩序へ受け入れ、執行力を付与する条件が満たされているかです。
この領域は、外国判決が確定してから日本の弁護士へ依頼すれば足りる問題ではありません。日本での将来執行が想定されるなら、外国訴訟の提起前から、外国裁判所の管轄根拠、日本への国際送達、デフォルト判決の取り方、判決通知と不服申立ての機会、損害項目の構成、判決の確定性、相互保証及び日本国内資産の保全を逆算して設計する必要があります。特に、日本はハーグ送達条約10条(a)の郵便送達に反対を通告しており、海外訴訟で日本の被告に対する送達を安易に処理すると、勝訴後の日本執行段階で重大な争点となり得ます。
また、2026年5月21日以降、執行判決を求める訴えを含む通常の民事訴訟については、民事裁判書類電子提出システムmintsを前提とするデジタル手続が本格化しました。一方、執行判決取得後の資産別の民事執行手続については別のデジタル化工程が進んでおり、裁判所の公表資料では改正民事執行法の全面施行は遅くとも2028年6月とされています。外国判決の日本執行では、承認法理だけでなく、2026年時点の実際の裁判・執行手続まで見据える必要があります。
本稿は、2026年10月5日時点の民事訴訟法、民事執行法、最高裁判例、外務省及びHCCHの公表資料その他の一次資料を踏まえ、海外企業、General Counsel、PE・投資家、債権回収担当者及び海外法律事務所が、外国判決の取得前から日本での最終回収までを一つのクロスボーダー執行戦略として設計するための実務を整理します。
本稿の要旨
民事訴訟法118条は、外国裁判所の確定判決について、外国裁判所の裁判権が日本法上認められること、敗訴被告に訴訟開始文書が適切に送達されたか又は応訴したこと、判決内容及び訴訟手続が日本の公序に反しないこと、相互の保証があることという四つの要件を要求しています。これらは形式的なチェック項目ではなく、判決国の管轄根拠、送達経路、訴訟経過、損害項目、外国法及び判決後の経過まで含む実質的なゲートキーピングです。
外国判決の「承認」と「執行」は分けて理解する必要があります。118条の要件を満たす外国判決の効力は、日本で前提問題として認められ得る一方、日本国内の資産に対する強制執行には民事執行法24条の執行判決が必要です。執行判決請求訴訟では外国判決の当否を再審理することは許されませんが、判決の確定性、118条各号の要件及び判決後の弁済等は現実の執行可能額に直結します。
デフォルト判決では、国際送達と手続的公序が特に重要です。日本はハーグ送達条約10条(a)の郵便送達、同条(b)(c)の直接送達等に反対しており、単に日本の被告へ文書が物理的に届いたという事実だけで安全とはいえません。さらに最高裁平成31年1月18日判決は、判決内容を了知し又は了知する実質的機会がないまま不服申立ての機会を失った外国判決について、手続的公序が問題となり得ることを示しています。
公序は外国法と日本法が異なるというだけで発動する一般的な再審査条項ではありませんが、損害賠償の性質は重要です。最高裁平成9年7月11日判決は、制裁・一般予防を目的とする懲罰的損害賠償部分を日本の公序に反するとし、最高裁令和3年5月25日判決は、外国で一部弁済があった場合でも、日本で効力を有しない懲罰的損害賠償部分へ弁済を充当したものとして執行残額を増やすことはできないと判断しました。外国判決の額面と日本で執行できる額は同一とは限りません。
相互保証は条約の有無だけで判断されません。最高裁昭和58年6月7日判決が示したのは、判決国において同種類の日本判決が、日本の承認要件と重要な点で異ならない条件の下に効力を認められるかという比較です。米国等の連邦制国家では州法・判例・実務を個別に確認する必要があり、執行判決請求では外国法調査そのものが重要な訴訟準備となります。
SAKURA法律事務所及び代表弁護士 道下剣志郎は、外国判決の承認・執行を「判決取得後の回収手続」として切り離すのではなく、外国訴訟のForum選定、送達、損害構成、判決通知、資産保全及び複数国での回収管理までを一つの国際紛争戦略として設計することが重要であると考えています。
1 外国判決の承認と強制執行を分けて考える――日本での回収は外国訴訟の終点ではなく、別の法的工程である
外国裁判所の判決が日本で効力を持つことと、その判決を使って日本の国家執行機関に資産を差し押さえてもらうことは、法的に別の問題です。民事訴訟法118条は「外国裁判所の確定判決の効力」を定め、一定の要件を満たす外国判決について日本法上の効力を認めます。この承認のために、常に独立した「承認判決」を先に取得する構造が採られているわけではなく、外国判決の効力が日本の別の訴訟で前提問題となる場面でも118条の要件が審査され得ます。
これに対して、日本の銀行預金、売掛金、不動産その他の資産に対して強制執行するには、民事執行法24条に基づく執行判決が必要です。執行判決が確定した外国判決は、民事執行法22条上の債務名義となり、その後に対象資産に応じた債権執行、不動産執行等へ進みます。したがって、外国で最終判決を得た時点は国際債権回収の終点ではなく、日本法上の承認・執行工程の入口にすぎません。
118条が対象とする「外国裁判所の確定判決」については、名称がJudgmentであるか、判決・決定・命令のどの形式を採るかだけで決まりません。最高裁平成10年4月28日判決が示したように、私法上の法律関係について当事者双方の手続的保障の下に終局的にされた裁判かという実質が重要です。また「確定」しているかは判決国法を前提に判断されるため、Appealの可否、期限、判決登録、確定証明等を外国法資料又は現地弁護士の説明で立証する必要が生じます。
なお、2019年ハーグ判決条約は既に国際的に発効していますが、HCCHの現行公表資料上、日本は同条約の締約国として掲載されていません。本稿時点の一般民商事判決について、日本における承認・執行の中心は引き続き民事訴訟法118条及び民事執行法24条です。したがって、外国判決を日本で流通させる可否は、判決国ごとの条約自動適用ではなく、日本国内法と判決国法の接続を個別に設計する必要があります。
2 民事訴訟法118条の第一関門は間接管轄――外国裁判所が自国法上管轄を有しただけでは足りない
民事訴訟法118条1号の「外国裁判所の裁判権」は、外国裁判所が自国法上管轄権を有していたかではなく、日本から見てその外国に国際裁判管轄を認めることができるかという、いわゆる間接管轄を意味します。外国の訴訟で管轄争いに勝っても、その判断がそのまま日本を拘束するわけではありません。将来日本での執行を想定するなら、提訴Forumの選択時点で、日本法上の間接管轄が成立するかを逆算しておく必要があります。
最高裁平成26年4月24日判決は、人事訴訟以外の事件について、間接管轄の有無は、我が国の国際裁判管轄に関する民事訴訟法の規定に基本的に準拠しつつ、個々の事案の具体的事情に即して、外国判決を日本で承認することが適当かという観点から判断するとの枠組みを示しました。被告の住所・主たる事務所、契約債務の履行地、不法行為地、事業活動、財産所在地、関連請求及び管轄合意などを、外国訴訟のラベルではなく実際の取引関係から検討します。
国際契約にForum Selection Clauseがある場合、その条項は重要な管轄根拠となり得ますが、条項の有効性、専属性、対象となる法律関係及び契約外請求への射程まで確認する必要があります。Master Agreement、Guarantee、Shareholders Agreement、Side Letter等で紛争解決条項が食い違う取引では、外国裁判所で得た判決のうち一部だけについて間接管轄が争われる可能性もあります。
債権者側は、日本に主要資産があると分かった時点で、外国訴訟の管轄根拠を「外国裁判所が受理するか」だけで評価すべきではありません。債務者側も、外国訴訟に応訴するか、管轄のみ争うか、本案まで争うかという意思決定が、後の日本承認・執行に影響し得ることを理解する必要があります。外国Forumの戦略と日本での間接管轄は、一つの手続連鎖として扱うべきです。
3 国際送達とデフォルト判決――「届いた」ことより、どの法的ルートで防御機会を与えたかが重要である
民事訴訟法118条2号は、敗訴被告が訴訟開始に必要な呼出し又は命令の送達を受けたこと、又は送達を受けなくても応訴したことを要求し、公示送達その他これに類する送達を除外しています。デフォルト判決を日本で執行する場合、この送達要件は最も現実的な争点の一つです。債権者は、何を、いつ、どこで、誰に、どの法的根拠で送達したかを、後の日本訴訟で再現できる形で保存しておく必要があります。
日本への国際送達については、ハーグ送達条約その他の司法共助ルートを確認しなければなりません。日本は同条約10条(b)(c)の直接送達に反対してきたほか、2018年には10条(a)の郵便による直接送達にも反対を通告しています。そのため、日本所在の被告へ海外裁判所の訴状を国際郵便で送ったというだけで、日本での後続執行まで安全と考えることはできません。外国裁判所の手続法上許容される方法と、日本が条約上受け入れる方法とを分けて確認することが重要です。
最高裁平成10年4月28日判決は、司法共助に関する条約等が送達方法を定めている場合に、そのルートから外れた私的な直接交付をどのように評価するかを含め、118条2号の送達要件を厳格に検討しました。ここから導かれる実務上の教訓は、被告が文書を現実に読んだかだけに依存せず、条約・判決国法・日本法の接続を適法に構成することです。送達の瑕疵を「実際に知っていたはずだ」で後から補う戦略は危険です。
もっとも、118条2号は、適切な送達がなくても敗訴被告が「応訴した」場合を明示的に取り込んでいます。したがって、日本企業が外国訴状を受領した際に、無視、管轄抗弁のみ、本案応訴のいずれを選択するかは、日本での後続執行にも影響し得ます。外国に資産がないという理由だけでデフォルトを選ぶ前に、日本国内資産へ判決が持ち込まれる可能性を評価すべきです。
さらに、送達が適切でも手続的公序の問題は残ります。最高裁平成31年1月18日判決は、判決内容を了知せず又は了知する実質的機会を与えられなかった結果、不服申立ての機会がないまま外国判決が確定した場合に、118条3号の公序に反し得ることを示しました。デフォルト判決では、訴状の送達証明だけでなく、判決登録、判決通知、Appeal Period及び確定の資料まで保存することが、日本執行の品質を左右します。
4 公序審査は外国判決の再審理ではないが、損害賠償の性質と手続保障は執行可能額を変える
民事訴訟法118条3号は、判決内容及び訴訟手続が日本の公の秩序又は善良の風俗に反しないことを要求します。しかし、外国法の制度が日本法と異なる、外国裁判所の損害算定が日本の通常水準より高い、証拠法や手続が日本と同じではないというだけで承認を拒む条項ではありません。公序は、国際性を考慮してもなお譲ることのできない日本法秩序の基本原則との両立性を審査する、例外的なゲートキーピングとして理解すべきです。
典型例が懲罰的損害賠償です。最高裁平成9年7月11日判決は、カリフォルニア州法上のPunitive Damagesについて、加害者への制裁及び一般予防を目的とする性質が、日本の不法行為損害賠償制度の基本原則と相いれないとして、その部分の効力を否定しました。したがって、米国判決等を日本で執行する際には、Compensatory Damages、Punitive or Exemplary Damages、Interest、Costs、Attorneys’ Fees等を判決上・資料上できる限り区分し、それぞれの法的性質を確認する必要があります。
公序に反する部分が含まれていても、外国判決全体が当然に執行不能になるわけではありません。公序に反しない部分が独立して特定でき、その他の118条要件を満たすなら、その範囲で承認・執行できる可能性があります。外国訴訟の請求段階から損害項目を分け、判決主文又は理由中で算定根拠を明確にすることは、日本での部分執行を可能にする実務的な意味を持ちます。
また、最高裁令和3年5月25日判決は、懲罰的損害賠償部分を含む外国判決について外国で一部弁済がされた場合、その弁済を日本で効力を有しない懲罰的損害賠償部分に充当したものとして扱い、日本で執行できる残額を増やすことはできないと判断しました。複数国で並行回収を行う場合には、各国での弁済、Settlement、Set-off、Enforcement Proceedsを一元的に管理し、日本での執行可能額を独自に再計算する必要があります。
手続的公序も同様に重要です。外国判決の内容が日本の実体法と異なるかではなく、当事者に実質的な防御機会があったか、判決を知って不服申立てを行う機会が与えられたかという手続保障が問われます。外国訴訟の記録を日本執行まで保存する必要がある理由は、まさにこの118条3号の審査にあります。
5 相互保証は条約の有無ではなく、判決国が日本判決を実質的に受け入れるかという外国法問題である
民事訴訟法118条4号の「相互の保証」は、外国判決承認制度の中でも特に誤解されやすい要件です。日本と判決国との間に外国判決の相互執行条約が存在しなければ直ちに相互保証がない、という制度ではありません。最高裁昭和58年6月7日判決は、判決国において同種類の日本判決が、日本の承認要件と重要な点で異ならない条件の下で効力を認められるなら相互保証を肯定し得るという基準を示しました。
したがって、執行判決請求では、判決国の外国判決承認法、コモンロー、裁判例及び実務を調査し、日本の判決がどのような要件で承認されるかを示す必要があります。外国法が日本と全く同じ条文構造を持つ必要はありません。比較すべきなのは、Finality、Jurisdiction、Notice/Due Process、Public Policyその他の承認条件が、実質的に著しく異なるかという点です。
米国のような連邦制国家では、相互保証を「米国」と一括りに判断することが適切でない場合があります。州裁判所判決であれば州ごとの外国判決承認法・コモンローが問題となり、Federal Judgmentであっても執行関係を含め具体的な法源を整理する必要があります。外国法調査は参考資料の添付ではなく、118条4号という日本法上の要件を満たすための立証そのものです。
HCCHの2019年判決条約は国際的な判決流通を標準化する方向を示していますが、現時点のHCCH公表資料上、日本は締約国として掲載されていません。このため、日本での一般的な外国判決承認・執行においては、118条4号の相互保証という国内法上の分析を省略できません。判決国がどこかという最初の一行が、必要な外国法リサーチの範囲を決めることになります。
6 執行判決請求と資産保全を並行させる――最終目的は日本での現実の回収である
民事執行法24条は、外国判決の執行判決を求める訴えについて、原則として債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所を管轄裁判所とし、日本に普通裁判籍がないときは請求の目的又は差押可能な財産の所在地を基準とします。執行判決請求は通常の民事訴訟として行われ、2026年5月21日以降に新たに提起される事件では、弁護士等の訴訟代理人はmintsによる電子手続を前提に準備する必要があります。
この訴訟で日本の裁判所は、外国判決の事実認定や法解釈が正しかったかを再審理しません。民事執行法24条は裁判の当否を調査しないことを明示しており、外国訴訟の「控訴審」を日本でやり直す制度ではありません。他方、判決の確定性、118条各号の承認要件、判決後の弁済・和解その他の事情は、日本で許される執行範囲に直接関係します。債務者側は、本案の不満と日本法上の執行抗弁を明確に分けて主張する必要があります。
債権者にとっては、執行判決請求の勝訴だけでなく、債務者の日本国内資産が残っているかが決定的です。資産散逸のおそれがあれば、執行判決の確定を待つ間に民事保全法上の仮差押え等を検討します。外国判決の存在は被保全権利を示す重要資料となり得ますが、保全の必要性、疎明、担保等の日本法上の要件は別途満たさなければなりません。
執行判決が確定した後は、預金・売掛金等の債権執行、不動産執行その他の資産別手続へ進みます。実際の回収額は、担保権、租税その他の優先権、競合債権者、第三債務者の状況及び資産の換価可能性によって左右されます。日本法には財産開示や一定の第三者情報取得手続もありますが、これらに依存して判決後に初めて資産を探すより、外国訴訟段階から適法なAsset Intelligenceを蓄積する方が実効的です。
デジタル化にも注意が必要です。執行判決請求訴訟自体は2026年の民事訴訟デジタル化の対象となる一方、資産別の民事執行は別工程で電子化が進んでいます。裁判所の2026年公表資料では、改正民事執行法の全面施行は遅くとも2028年6月とされており、現時点では手続ごとに書面・電子の扱いを確認する必要があります。クロスボーダー回収では、承認法理と執行オペレーションの両方を最新化しておくことが重要です。
7 日本執行を見越して外国訴訟を設計する――債権者・債務者双方に必要なクロスボーダー判断
日本に主要資産がある債務者を外国で訴える債権者は、日本の執行判決を「判決取得後の作業」と考えるべきではありません。外国訴訟の開始前に、日本法上の間接管轄が成立するか、日本の被告へどのルートで送達するか、デフォルト判決を取得する場合に判決通知・不服申立ての機会をどう確保するか、損害賠償項目をどのように分離するか、判決の確定性を何で証明するか、相互保証をどの外国法資料で示すかを検討します。これにより、外国判決の「勝ち方」と日本での「回収し方」を一致させることができます。
反対に、日本企業が外国訴訟を受ける場合も、現地での応訴戦略と日本での後続執行を分断すべきではありません。外国訴状を放置してデフォルト判決を受けることが、日本での執行を当然に阻止するわけではありません。管轄抗弁のみを行うのか、本案へ応訴するのか、Settlementを選ぶのかによって、118条2号の応訴や後の公序主張の構造が変わり得ます。外国プロセスを受領した段階で、日本側の執行防御まで含めた方針を決めることが重要です。
外国判決と外国仲裁判断も混同すべきではありません。外国判決は民事訴訟法118条・民事執行法24条が中心であるのに対し、外国仲裁判断は仲裁法及びニューヨーク条約の枠組みで承認・執行されます。契約交渉時には、裁判管轄か仲裁かを秘密性や手続言語だけで選ぶのではなく、主要資産の所在地、想定される執行国、暫定措置、上訴可能性及び判決・仲裁判断の国際流通可能性を比較する必要があります。
SAKURA法律事務所及び代表弁護士 道下剣志郎は、外国判決の承認・執行を、外国訴訟、国際裁判管轄、国際送達、損害論、資産保全、外国法調査及び日本の民事執行を横断する国際紛争案件として捉えています。海外法律事務所との協働では、日本で将来必要となる記録と立証を外国訴訟の初期から共有し、判決取得後は執行判決、仮差押え及び強制執行を一体として設計することが、回収可能性を高める実務上の核心です。
FAQ
Q1 外国で勝訴判決を得れば、日本の銀行口座をすぐに差し押さえられますか。
いいえ。外国判決が民事訴訟法118条の承認要件を満たすことに加え、日本で強制執行するには原則として民事執行法24条の執行判決を取得する必要があります。
Q2 外国判決の「承認」のために必ず独立した承認訴訟を起こす必要がありますか。
承認それ自体について常に独立した訴訟を要する制度ではありません。118条の要件を満たす外国判決の効力は、日本の別の訴訟等で前提問題として認められ得ます。ただし、強制執行には執行判決が必要です。
Q3 日本の裁判所は外国判決の事実認定や契約解釈をやり直しますか。
原則としてやり直しません。民事執行法24条は外国裁判所の裁判の当否を調査しないと定めています。確定性、民事訴訟法118条の要件、判決後の弁済等は別途審査対象となります。
Q4 外国のデフォルト判決でも日本で執行できますか。
可能性はあります。ただし、間接管轄、訴訟開始文書の送達、判決を知って不服申立てを行う実質的機会その他の手続保障が特に重要になります。
Q5 海外裁判所の訴状を日本の被告へ国際郵便で送れば、送達要件を満たしますか。
一律にはいえません。日本はハーグ送達条約10条(a)の郵便送達に反対を通告しており、適用される条約、判決国法、具体的送達方法を確認する必要があります。単なる現実の受領だけに依存すべきではありません。
Q6 米国判決のPunitive Damagesは日本で執行できますか。
最高裁は、制裁・一般予防を目的とする懲罰的損害賠償部分について日本の公序に反すると判断しています。補償的損害、利息、費用等と分けて、日本で執行可能な部分を精査する必要があります。
Q7 懲罰的損害賠償が含まれていれば外国判決全体が執行不能になりますか。
必ずしもそうではありません。公序に反する部分とその他の部分が分離可能で、他の承認要件を満たす場合には、公序に反しない範囲で承認・執行が認められる可能性があります。
Q8 相互保証のために日本と判決国との条約が必要ですか。
条約が必須ではありません。判決国において同種類の日本判決が、日本の承認要件と重要な点で異ならない条件で効力を認められるかを、現地法令・判例・実務から分析します。
Q9 外国判決の一部を既に別の国で回収しています。日本では額面の残額全部を執行できますか。
自動的には決まりません。日本で承認されない損害項目の有無、既払額の性質・充当関係、Settlementその他を踏まえて日本での執行可能残額を計算する必要があります。
Q10 外国訴訟をこれから始めます。日本側の弁護士に相談するのは判決取得後で十分ですか。
日本に主要資産がある場合は、提訴前の相談が有用です。間接管轄、国際送達、損害項目、判決通知、確定性、相互保証及び資産保全を外国訴訟の設計へ反映することで、後の日本執行リスクを減らせます。
代表弁護士 道下剣志郎「Legal Update」について
SAKURA法律事務所は、代表弁護士 道下剣志郎のプロフィールページにおいて、M&A、企業法務、クロスボーダー取引、国際紛争、金融規制、AI・IT、個人情報、知的財産、危機管理その他の企業経営に重要な法的論点を継続的に解説するLegal Updateを公開しています。
第18回は、第17回「外国企業が日本企業を訴える場合の日本の民事訴訟実務」に続く国際紛争シリーズとして、外国で取得した裁判所判決を日本法秩序へ取り込み、最終的に日本国内資産から回収するまでの承認・執行実務を扱うものです。第19回の国際仲裁とも連続し、裁判判決と仲裁判断という異なる国際執行ルートを体系的に理解できる構成としています。
SAKURA法律事務所に相談できる事項
SAKURA法律事務所では、海外企業、General Counsel、PE・投資家、金融機関、債権者及び海外法律事務所から、外国判決の日本における承認可能性・執行可能性の分析、民事訴訟法118条各号の検討、民事執行法24条に基づく執行判決請求、国際送達、相互保証に関する外国法調査、日本国内資産の調査・仮差押え、執行判決後の債権執行・不動産執行その他のクロスボーダー債権回収について相談を受けることが可能です。
外国訴訟をこれから開始する案件については、日本を将来の執行地として想定し、海外法律事務所と英語で連携しながら、外国Forumの管轄根拠、日本への送達、デフォルト判決、損害項目、判決通知・確定、相互保証及び資産保全を事前に検討することも可能です。日本企業が外国判決の執行を受ける側についても、間接管轄、送達、手続的・実体的公序、相互保証、弁済・和解その他の抗弁を含めて対応します。
お問い合わせ
外国判決の日本における承認・執行、執行判決、民事訴訟法118条、海外訴訟、国際商事紛争、仮差押え・強制執行その他のクロスボーダー紛争・債権回収に関するご相談は、SAKURA法律事務所までお問い合わせください。
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Web: https://sakura-lawyers.jp/
主な参考資料
1. 民事訴訟法(e-Gov法令検索。第118条その他) — https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
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3. 民事保全法(e-Gov法令検索。仮差押え・仮処分) — https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091
4. 裁判所「民事裁判手続のデジタル化」 — https://www.courts.go.jp/saiban/minjidejitaruka/index.html
5. 裁判所「改正民訴法等に関する参考資料」―民事執行法の全面施行時期等を含む — https://www.courts.go.jp/saiban/minjidejitaruka/minso_shiryou/index.html
6. 最高裁判所昭和58年6月7日第三小法廷判決(1982(O)826)―相互保証 — https://www.courts.go.jp/english/Judgments/search/70/index.html
7. 最高裁判所平成9年7月11日第二小法廷判決(1993(O)1762)―懲罰的損害賠償と公序 — https://www.courts.go.jp/english/Judgments/search/316/index.html
8. 最高裁判所平成10年4月28日第三小法廷判決(平成6年(オ)第1838号)―外国判決、間接管轄、国際送達、公序及び相互保証(裁判例検索) — https://www.courts.go.jp/hanrei/search2/index.html?lang=ja
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10. 最高裁判所平成31年1月18日第二小法廷判決(平成29年(受)第2177号)―手続的公序 — https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-88253.pdf
11. 最高裁判所令和3年5月25日第三小法廷判決(令和2年(受)第170号、同年(オ)第135号)―懲罰的損害賠償と一部弁済 — https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/323/090323_hanrei.pdf
12. 外務省「外国の裁判所が日本に裁判文書の送達及び証拠調べを要請する方法」 — https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/cp/page25_001296.html
13. HCCH『1965 Service Convention』本文 — https://www.hcch.net/en/instruments/conventions/full-text/?cid=17
14. HCCH『1965 Service Convention』締約国一覧 — https://www.hcch.net/en/instruments/conventions/status-table/?cid=17
15. HCCH『1965 Service Convention』日本の宣言(Article 8、Article 10(a)(b)(c)等) — https://www.hcch.net/en/instruments/conventions/status-table/print/?cid=17
16. HCCH『2019 Judgments Convention』締約状況 — https://www.hcch.net/en/instruments/conventions/status-table/?cid=137
17. Japanese Law Translation『Code of Civil Procedure』 — https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/4421
18. Japanese Law Translation『Civil Execution Act』 — https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/70
19. SAKURA法律事務所 公式サイト — https://sakura-lawyers.jp/
20. SAKURA法律事務所 代表弁護士 道下剣志郎 プロフィール — https://sakura-lawyers.jp/lawyer/michishita-kenshiro/
免責事項
本稿は、2026年10月5日時点で公表されている日本法令、裁判所・外務省・HCCHその他の公的資料及び公表裁判例を基礎として、外国判決の承認・執行に関する一般的な情報を提供するものであり、特定の外国判決、訴訟、送達、損害賠償又は資産に関する法的助言又は法律意見を構成するものではありません。外国判決の承認・執行の可否は、判決国、判決の性質、確定性、外国裁判所の国際裁判管轄、国際送達・応訴の状況、判決内容及び訴訟手続、公序、相互保証、弁済・和解・相殺その他の事情により異なります。判決国法、条約の締約状況・宣言及び外国裁判所の実務は変更され得ます。また、2026年5月21日に全面施行された通常民事訴訟のデジタル化と、民事執行・保全手続の電子化は同一の施行状況ではありません。個別案件では、執行判決請求又は保全・執行申立て時点の日本法、外国法、条約、裁判所運用及び資産状況を確認した上で検討する必要があります。